著書「フーパーの戦争」は 第二次世界大戦中、日本を舞台にアメリカ兵役軍人が自分の記憶をたどっていく歴史小説。
著者のピーター ヴァンビューランは もしアメリカが広島と長崎に原子爆弾投下をせず、地上侵攻して戦争を終結させていたとしたら、どうなっていただろうかという疑問を本書で模索していく。 主人公のフーパーは 現在と過去を何度もタイムスリップしながらその答えを探る。
2017年、年老いた主人公のネイト フーパーは 今はハワイで老人ホームに住んでいる。しかし、日本人の元妻との約束を守るため、京都を訪問をする。 遠い過去の1945年、フーパーは まだ18才。戦争の恐ろしい残骸が広がるフィクショナルな京都で 同年代の若い将校たちを率いる陸軍士官だ。 物語は フーパーが 現代と過去の二つのタイムラインを行き来しながら 戦場を振り返える。そして、何十年も誰にも語れなかった秘密に苦しみながらも向き合っていく。
ヴァンビューランは 本書で「戦場ではどの行為にも正解はなく、しかしながら、決断を回避することも許されない」という葛藤の現実を描いている。戦地での生々しい感情と自己防衛本能をむき出しにする兵士たちのセリフが飛び交う。
フーパーは 人を惹きつける主人公である。そして、純潔な若者だ。しかし、次第に戦争の惨さに心が病んでいく。そして、うぶだった青年は 兵士という任務に 否が応にも辛い成長をさせられる。「フーパーの戦争」は 容易に答えを与えてくれるわけではない。戦場での決断は 正しくも間違ってもいないことに読者は気づかされる。
ピーターヴァンビューランは 文部科学省の国費留学生として兵庫教育大学に学び、のち 外交官になり、大阪のアメリカ領事館と東京のアメリカ大使館に勤務。10年間、日本に在住した。本書に登場する二人の人物像は ヴァンビューランが 第二次世界大戦を生き抜いた日本人の老人たちに日本語で直接インタビューをし、その話を基に描かれた。
(Summary of Hooper’s War in Japanese)
Copyright © 2020. All rights reserved. The views expressed here are solely those of the author(s) in their private capacity.
Leave A Comment